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2013年9月

2013年9月28日 (土)

二年。

湖北長浜の町に初めて足を踏み入れたのも、

「さざなみ古書店」を開業したのも

光ふりそそぐ秋のはじまり、風の透きとおったこんな季節だった。

2010年10月2日(土曜)の早朝、前夜に満員で小倉駅前を発った高速バスが京都駅に着き、

洗面所で洗顔をすませて、JR新快速長浜行に乗り込む。

耳栓の効果もなく、一晩中エンジン音と振動で眠れない一夜だったので、旅のはじまりとしては

いささかの体調不穏。

改札口を出ると、右「琵琶湖口」 左「伊吹口」、高層ビルも見えない!この町はステキ!とつぶやく。

とりあえず、宿 http://tokinokumo-guesthouse.com/index.htmlまで歩いて鞄を預け、

さて、身軽にきょろきょろと歩き出す。。。

ちょうどアートインナガハマ http://blog.ko-blog.jp/ain/kiji/96451.html開催で

賑わいはじめた町中を抜け、ギャラリー季の雲 http://www.tokinokumo.com/へ。

苦手な人混みを避けて、畑や住宅地を抜ける小さい路を気ままに散歩するのは大好きだ。

イタリアンランチのあとにまた散策、ふらりと舎那院の門をくぐってみた。

本堂前の小さな川に、たっぷりと気が流れて、清々しい場所だった。

汗ばんだ旅の者は、本堂の階段に腰を下ろして木漏れ陽の下で深呼吸。

だあれも人の気配がなく静寂そのもの。

どのくらいの時間、とろとろと境内の木々のそよぎを眺めていたんだろう。。

「いい場所!。このまちに住めたらここで、こんな時間が過ごせるんだなぁ」と

傷み疲弊していた胸の内からナニカを求める音が、確かにコクンと鳴った。

そのときに撮影した舎那院の庭画像を、初心忘れないように、今でも待ち受け画面にしている。

翌月に再訪、賃貸住処見学、暮れに契約~~~引っ越し準備~~とても慌ただしかったけれど

差し出されたさまざまな幸運のスィッチをしっかり押して、進んだ。

・・・旅の午後から3年目の秋、今は、すっかり長浜の住人として暮らしている。

30個以上の段ボールに詰め込んだ自分の本を並べて

「さざなみ古書店」をはじめたのは、移住して8か月目の秋。

2011年9月30日に、私の夢が、ささやかながらカタチになった小さな古本屋がスタートした。

そして、タカラモノのような2年が経つ。

ありがとう。

ありがとう。

本と出会う時間をさざなみ古書店で過ごして下さったすべてのお客さま、ありがとう。

応援して下さるみなさま、ありがとう。

遠くで見守ってくださる方々、ありがとう。

3年目は、知識不足の恥さらしを猛省して、もっと勉強をして、なるべくいい店主になりたいと思う。

dog

軽自動車の助手席に乗って一緒にやってきた、ココア爺(もうすぐ13歳)は、

雨の日も雪の日も、一緒に散歩をしてくれるいい相棒だ。

↓ひなたぼっこ中のココア爺。

P9260318_2

米川に接した穏やかな住処の秋の居間風景。↓大きなもみじの木は紅葉前のみどりいろ。

こんな心休まる住処でずうっとずうっと歳をとってゆきたい。ちょっとはましな古本屋店主になって。。

P9260336_2

2013年9月19日 (木)

酔芙蓉。

酔芙蓉ひと戻るとき震へけり 河野多希女

朝の酔芙蓉は、

華奢で清楚でほんとうに美しい。

はなびらの縁がふるえるようなフリル。

芙蓉の寺、舎那院の本堂にむかって左の大きな木。

ふくらんだ蕾は、ふうわりと真白く、ほどかれて、

明るい昼間は、清らかな白無垢姿で、秋風にゆれている。

夕刻になると、紅色が薄く差しこんで、白かった花びらを少しずつ染めこんでゆく。

P9180163_2


・・・いったい昏い間に何が起きているというのだろうか。

ほろ酔いというよりも、恥らいのようにみえる紅色。

翌朝には一輪全体が、すっかり紅色に姿を変えている。

今朝、開花した純白の花の隣に、昨日の紅花が逝くのを惜しむかのように寄り添っている。

これはなんとも女の花、胸がきゅんとする一日花のいのちの光景だ。

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愛染明王のおわす古刹が

芙蓉の寺と呼ばれ、

酔芙蓉が咲きほこるとは、、、どのような謂われがあるのだろう。

わずか一日をまたいでころりと落花した姿は、

きゅっと閉じられた濃紅色の巻貝のような、

それもまた慎み深い様子で、 まだ生命が在るようにもみえる。

P9180172P9180178_2

芙蓉の木の裏手へ廻ると →

川面に朝陽がきらきらと反射して

秋のはじまりの透明な風にのって

木々の香りが漂ってくる。

こんな朝が味わえる長浜の9月に

感謝。

今宵19日は仲秋の名月、、まんまるお月さまが、空に浮かんでいる。

今夜こそ、思う存分に月光浴を愉しんでいるはずの

酔芙蓉の花たちは、どんな妖艶なすがたでほろ酔っているのだろう。

pencil(再掲)舎那院のごあんない

 

平安時代初期 814年、空海が開山した寺。

 

  本尊の愛染明王坐像は

 

  観音堂の阿弥陀如来坐像とともに、

 

  国の重要文化財に指定されている

2013年9月13日 (金)

妖精ミト。

P9130108

↑(キンダーブックより)

昭和生まれの人々は必ず目にしたことがある武井武雄(1894~1983)の絵。

ウキウキするようなユーモラスな画面は、子どもの世界にたくさん出現していた。

武井武雄は、子どものための絵を、「童画」と名付けて、

児童書挿絵や、雑誌コドモノクニ、絵本を芸術作品と捉えた「刊本」、版画、デザインで、独自の活躍をする。

モダンで、洒落ていて、突き抜けたナンセンスぶりもあり、

天真爛漫な描線と、都会的な色使いの作品を発表し続けた画家は

いったいどのように生きた人なのだろう。 

book 武井三春「父の絵具箱」 (1989 六興出版)

 P9130094
 本の右は、季刊銀花49号(1982)の

 武井特集ペエジ。

 彼が実に多彩な創作を繰り広げたことが

 紹介されている。

 「イルフ・トイズ」と名付けた玩具の世界。

 イルフとは、古い(フルイ)の反対で

 新しいという意味の武井による造語。

 新しい様式の玩具を創造することをめざし、

 のびやかな造形の多くの玩具が創られた。

父の絵具箱」では、娘さんの三春さんの、こまやかな筆が、

仕事以外の日常の中に、

愛のあふれるアートを取りこんで暮らした父親の人生を描き出してくれる。

使用済みの葉書の紙で、三春さんに作ったトランプの丁寧な絵にもぐっとくる。

遊びを真剣に楽しみ、多くの人々と友情で結ばれ、

小さな人たちへ、夢と笑顔を惜しみなく与え続けようとした武井武雄に備わった天性の豊かな情愛に

すっかり感嘆しながら、読んだ。

彼が小さい頃、病弱だったため家の中で過ごす時間が長く

空想の世界で、「妖精ミト」を創りだし、遊んだり話したりして物語の中で一緒に過ごしたと言う。

以後の長い創作の原点となった不思議で本当のような体験だ。

一生涯、彼の世界には、この「ミト」が棲みつづけたのではないかしら。

「妖精ミト」と真剣にかかわる心もちの、自由度の大きさ!!

それを、大人になっても消去しない、こころの柔らかさ!!

Photo_2


↑絵本「ラムラム王」。

ロワ・ラムラムの頭文字をとって、RRR をそれ以降のサインに決めたというのも、楽しい思い出話だ。

武井は、気に入って、 をいろいろデザインに取り入れたらしい。

武井の形見である、RRRの指輪のことを三春さんはこのように書いている。

「そして今、父についての何か重要なことを決めるとき、ひそかに大切なRRRの指輪を出して

自分の指に嵌めてよく考えてみることにしている。」

別れの瞬間が来るまで、三春さんがどれほど父親を尊敬し、父親の芸術を愛していたか

この本の温かさは、ふたりの合作だからなのだろう。

art

pencil

2013年9月 6日 (金)

9月6日に思うこと。

何が特別なんだかわからないけれど、年に一回やってくる祝いの日。

63年前、城井川の近くの家の座敷で

若い20代の父母と、無防備な赤子の私が初めて出会った朝が在り、

それから

港のある町、川のある町、林のある町、湖畔の町、いろんな名前の町で呼吸しながら、

旅を続けている。

今朝は湖北長浜の町で目覚めた。

つくつく法師の鳴く涼やかな午前、

携帯へ届いた友人からの「おめでとう」メイルを読みながら

まだ見ぬツィーッターの知人からも、「おめでとう」と、、、

・・・胸がしくっとする。

数えきれない人々の心が織りなしてくれた温かな長い敷物のうえを

無遠慮に踏み散らしながら

63年も歩いてきてしまっただけなのだから

およそ、めでたくもないのだ。

濁りきったこの国に住むひとりの人間として

いまだに誰かに助けてもらいながら

心の中でお礼を言い続けながら、

限りある朝たちを、できるだけ上機嫌で迎えるしかないなぁ。

父と母を通して預らせてもらってる生命の奇跡に感謝して

小花が小瓶に挿されて、いつも在るように

ちいさな希望を枯らさぬように暮してゆこう。

ぽっかり穴が開いても、繕いながら、愛を編みだせる力を貯えよう。

大好きな花、松虫草は野原で楚々と咲く。

20090504matu01

この夜のささやかな酒宴の最後に

こんなすてきな無花果と葡萄のレアチーズケーキが出てきた!

うるうるうるうる。。。

Photo_2

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