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2013年10月

2013年10月31日 (木)

「加藤廣行詩集」

私はこの詩人について、同年だということ以外、全くなんの予備知識もないまま、

これまで3冊の彼の詩集を、読んだことになる。

10月に発刊されたばかりの最新詩集 「歌のかけら 星の杯」 (竹林館)を読んだ。

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そのなかから・・・。

除目』

 (前略)

 こんな晩はただ感情を外套で包むのが基本であるが 

先手を打たれないように 

もうひとつ先まで行って 

吹雪の中を歩くのも一法 

気がつけば不細工な野っ原じゃないか 

まるで読めない古い本 

吹き付ける言葉を顔面に受けて 

滲む血をぬぐわず 

遠い灯は遠いままだと確かめながら 

(後略)

book

『剪定』

休みの日には休む家

休みを休んだ証拠の身形(みなり)

使い慣れたる鋏を腰に

蜘蛛の巣をかき分けて小さい林に入る

近くて遠い頭蓋の奥

鶯が一日中鳴いているのを追いかけて

余分な感情を斬り落とす

枝から枝への透明な道を真っ直ぐにする

(後略)

3冊の詩集のどの詩にも

オトコの持つ潔い匂いをさせて、太くまっすぐに言葉が選ばれている。

だらだら引きずったもののない詩。

筋肉質の体躯が

無数の言の葉が繁った果樹へするすると登り、

余計な枝には目もくれず、

ほどよく色づいた実やらしっかり育った葉だけを、すばやく背籠に摘みとっている様子が目に浮かぶ。

その行為の最中には、

枝から突き出たトゲに負傷し、樹液の毒に立ち眩んだりもしているのだろうが、

加藤廣行は、それに気づかないふりもするはずだ。

そして、

地上に降りた彼は

鮮度の良い言の葉たちを、かたちよく

さぁ、俺の言葉の皿盛りだ、と

熟練の果樹園園丁か、

頑固な料理職人のように、

詩にして、差し出すのだろう。

・・・ごちそうさま。 

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 book これら3冊の詩集の装幀は

すべてデザイナーの犬塚達美氏による。

2013年10月21日 (月)

茨木のり子の家。

お客様から教えて頂いて

さっそく購入した book 「茨木のり子の家」(2010 平凡社)。(茨木のり子 1926~2006)

気持ちが窮屈になったときに読まずにはいられないたくさんの詩を遺してくれた詩人が、住んだ家。

部屋の内部や調度や器、ポートレイト、直筆原稿など多くの興味深い写真に、

幾篇かの詩が添えられた本。

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表紙写真に使われた窓の「木の葉模様のスリガラス」も詩人が選んだはずだ。

全編、昭和のテイストが漂う。

この本の存在を知らないままだった迂闊な数年間が悔しい。

ひとつとして余計なものの無い、こんな家に、私は住みたかったんだ、、と

呟きながら熱くなって頁をめくった。

終の棲家をこんな家につくってゆこう、と改めて心に目指す。

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↑左の椅子は、「倚りかからず」の椅子。

最愛の夫を亡くしてから30年間の、「ひとりの時代」を暮した、シンプルで主張がある住まい。

TVも、新しい電化製品も見当たらない家の中、さりげなく見えるが、

確固たる選択眼で整えられていて、

その凛とした濃い気配は、主が逝ってしまったあとも、尋常ではない強さで存在している。

自分の眼で確かめ、自分の感性を守って、丁寧に暮らす・・・ 詩のような日々であったのだろう。

一人は賑やか』 ・・・一人でいるのは 賑やかだ 賑やかな賑やかな森だよ

倚りかからず』 ・・・倚りかかるとすれば  それは  椅子の背もたれだけ

pencil

彼女が生前に準備していた、死亡通知の文は、このまま踏襲させてもらいたいくらい、

潔くて、はりはりと清々しい詩だ。 (日時と死因は遺族が記入)

このたび私、06年2月17日クモ膜下出血にて この世におさらばすることになりました。 

これは生前に書き置くものです。

私の意志で、葬儀・お別れ会は何もいたしません。

この家も当分の間、無人となりますゆえ、

弔慰の品はお花を含め、一切お送り下さいませんように。

返送の無礼を重ねるだけと存じますので。


「あの人も逝ったか」と一瞬、

たったの一瞬思い出して下さればそれで十分でございます。

(後略)

ただただ、かっこいい人だ!

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2013年10月13日 (日)

三年目。

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板壁にも三年(?)、年ごとに蔦に覆われてゆく我が住処。

あっという間に三年目に突入した小さな古本屋、

自己流で本を並べて、店の中で埋もれている店主、

ヨソモノとして、長期滞在旅人のように棲んでいる我が身を

少し物思いする。

しのびよる秋冷のせいか、ようやっと町の姿がのみこめてきた時期だからか、

気分がさわさわと波立つ。

弱音を認めない頑固な自分がちょっと哀れになったりして。

心の中の「さざなみ」 が続くとしたら、店名にこの名を使わせてもらった宿命かしら。

どこかの枝から米川にダイブして

琵琶湖にむかって気ままに流れているうちに、水草に引き止められている紅いひとひら。

何処へ行くつもり?

何を思っているのか、所在なさげな様子は、今の私と似てる。

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